土地改良事業計画に対する専門技術者の調査報告  

1 根拠

(1)土地改良法第8条第2項

都道府県知事は前項の審査(土地改良事業計画及び土地改良区設立時の定款)に当っては、省令(土地改良法施行規則第15条)の定めるところにより、農用地の改良、開発、保全又は集団化に関し専門的知識を有する技術者が調査して提出する報告に基づかなければならない。」

(2)「専門技術者委嘱の要領について」

  (昭和40年12月25日付け40農地B第4184号農林省農地局長から農政局長知事あて通知)

 ※ 国営、県営、市町村営、農協営、共同施行土地改良事業においても適用される。また、土地改良事業計画の変更の場合も適用される。(土地改良法第8条2項の準用)

2 調査報告を求める時期等

(1)県営土地改良事業

   申請に係る土地改良事業の適否決定後、土地改良事業計画の決定時。

   計画変更の場合は概要公告後、変更土地改良事業計画の決定時。

(2)団体営土地改良事業

 事業主体から知事への認可申請時

(3)異議の申立(申出)

   県営、団体営とも、異議が提起された場合は、知事は専門技術者(調査報告を行った者と同一人物である必要はない。)の意見を聞かなければならない。(土地改良法第9条第2項、第87条第7項)

3 調査報告の内容(土地改良法施行規則第15条)

(1)土地改良事業の必要性

(2)土地改良事業の技術的可能性

(3)土地改良事業の施行の当否に関する技術的意見

(4)土地改良事業の効用と費用の比較

(5)土地改良事業参加者の金銭負担が、その負担能力を超えないかどうかの意見

(6)非農用地区域の位置規模についての意見

(7)関係事業との調整方法についての意見

(8)換地計画樹立の基本構想及びその実施方法に対する意見

(9)土地改良施設の管理方法に関する技術的意見

(10)その他土地改良事業計画に記載された事項の当否

4 「専門技術者委嘱の要領について」の内容

(1)専門的知識を有する技術者の一般的な資格

   公務員、学校職員、一般民間人を問わず、一般的に見て専門的知識を有する技術者と認められる者。

(2)委嘱を避けるべき専門技術者

  ア 土地改良法第7条第5項の規定(国県営事業には適用がない)による事業主体の県に対する請求により、土地改良事業計画又は定款作成に援助を与えた県の職員

  イ 国県営土地改良事業計画の樹立に携わった者

  ウ 一般民間人で現にその土地改良事業に関係し若しくは関係すると思われる者

(3)常に委嘱を必要とする専門技術者の範囲(アとイの両方必要)

ア 農業土木の専門家

「農業土木の専門家」には下記の者を含む。

   ・「農業土木」を選択して、技術士試験第2次試験の農業部門に合格した技術士

・土地改良専門技術者

「土地改良専門技術者試験」に合格した者又は技術士試験第2次試験の農業部門に合格した技術士で名簿に登録したもの。

イ 農業経済の専門家又は地域農業開発計画の専門家

 「地域農業開発計画の専門家」には下記の者を含む。 

 ・「地域農業開発計画」を選択して、技術士試験第2次試験の農業部門に合格した技術士

・土地改良専門技術者

「土地改良専門技術者試験」に合格した者又は技術士試験第2次試験の農業部門に合格した技術士で名簿に登録したもの。

(4)換地計画を定める土地改良事業計画の場合に委嘱を必要とする専門技術者の範囲

上記(3)のア、イに加えて、土地改良換地士(土地改良換地士試験に合格した者)に委嘱を必要とする。

(5)その他、土地改良事業の内容如何により、農学、畜産、園芸、養蚕、林学、水産、地質、土壌肥料、土木、気象、法律、経済等の専門家への委嘱が適宜必要。