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U7

「U7」36号に2010年8月に開催された東京大学社会科学研究所サマーセミナーの記事がある。丸川知雄氏の「生活の中の日中関係」が掲載されている。
その中で次のことが指摘されている。


中国からの輸入の大部分はパソコンや服である。
中国と日本の貿易が盛んになったのはお互いに異なった分野に比較優位を持っている。日本に欠けていて中国にあるものは工場労働者と鉱物資源であり、日本から中国にものを輸出できるのは中国にない技術を持っているからである。
日本が農水産物を最も輸入しているのはアメリカで、中国からの輸入はアメリカからの輸入の半分である。アメリカから輸入されるトウモロコシや大豆は飼料や食用油、パンやうどんになるので輸入されていることが目立たない。
日本で売られているタケノコの89%、緑豆の89%は中国産であり、緑豆はモヤシの原料になる。モヤシは100%国産とされているが、中国から輸入した緑豆を日本で発芽させているからである。
落花生は74%、ニンニクは69%、マツタケは67%、干しシイタケは67%が中国産である。干しシイタケは高級品が逆に日本から中国に輸出されている。
中国は世界最大の濃縮リンゴジュース生産国であり、日本はりんごジュースの61%を中国に依存している。日本の工場で日本産のリンゴジュースと水を混ぜて、日本産のリンゴジュースになっている。
2008年に輸入された中国からの農産物の0.29%が厚生労働省の検査にひっかかったが、日本が輸入している全食品の平均0.59%よりかなり低い。中国から輸入される食品が危険という客観的根拠はない。
中国は手作業で害虫を取る作業をする労働力が豊富で、降水量が少なく冬に寒い害虫が死滅しやすい環境があり、減農薬無農薬で農業をするには都合がいいところである。
日本の食料自給率はカロリーベースで41%、生産額ベースで65%である。これはカロリーが多くて価格の安い畜産物、油脂類、小麦を輸入に頼り、カロリーは低いが価格の高い野菜、魚介、果実が国産の割合が高いからである。要するに日本の農業が価格の安いものの生産から価格の高いものにシフトした結果であり、経済的に存続するための自然な流れだったのである。
カロリーベースの自給率を高めたいなら国産野菜の購入を勧めても無意味であり、日本の農家に小麦や飼料、油料作物の
生産を勧めることになるが、これは日本の農家を窮地に追い詰めるだけになる。
食料の安定供給と食料を自給することはイコールではない。天候不順などで外国の輸入が止まることが指摘されているが、それは日本国内でもありうることである。1993年から1994年の冷夏の米不足のとき飢え死にを出さずに乗り切ったのは輸入のおかげで、このときの教訓は「国産品だけに頼っていては危ない」ということだった。
中国は世界最大の衣服輸出国で、日本は服の枚数の85%、金額で72%を中国産に依存し、中国とけんかしたら当面服は購入できなくなる。日本は中国からの衣服の輸入に制限を加えていないのは、実際に中国に落ちる金がわずかだからである。日本で一万円する服のうち5100円は日本に落ちる。逆に日本製を購入した場合、日本で衣服の工場で働く人の3分の2は中国からの技能実習生であり、日本製と書いてあっても中国製とあまり変わらない。