帝国大学新聞社編集部編「日本封建制の分析」

帝国大学新聞社編集部編「日本封建制の分析」(帝国大学新聞社出版部 1947年)に掲載されている古島敏雄氏「日本農業の封建制」では、戦前の日本は、米、大豆(7割を外地依存)、雑穀、豆類など農産物の多くを朝鮮、台湾を含む輸入に頼っていた。そしてその輸入物の生産をあげるために内地に硫安工業が発達し、輸入を可能ならしめたのは農産物の加工品であり、更に原料を外国に仰ぐ綿製品だったとの指摘がある。
そして、敗戦は肥料工業を破壊したため、国内の米、麦の生産を激減させ、食糧危機を招いた。
現実の食糧不足は農業に対する食糧増産を要請するが、農業はその回復のため肥料の増産を望み、肥料増産は石炭不足と工場の老朽化、戦災工場復旧難に阻まれ、一方炭坑や工業は食料の加配を望むという悪循環があると分析されている。

「日本封建制の分析」は、あとがきによると、一部を除き「帝国大学新聞」に1946年秋以来に掲載された論考からなり、執筆者は大塚久雄、内田義彦、近藤康男、高橋幸八郎氏などそうそうたる顔ぶれである。価格は35円、私は古本屋で300円で購入した。